終わらない夢 〜木の葉の里編〜 by真也
ACT5
いくつもの夢が繋がってゆく。
彼らから、俺達へと。
たぶん、その先にいる者達の所まで。
「なんだか、いろいろあったな」
褥の中で鈴が呟く。ほんのりと色づいた肌。先程の名残があちこちに散っている。
「疲れたか」
「少し。でも、こっちの方が疲れるけど」
減らない口を封じた。息を奪って余裕を失くす。背中をつねられた。仕方なく解放してやる。
「・・・・・ちょっと、休ませてくれよ」
拗ねた目が見上げる。いいだろう。時間はまだある。
「でも・・・・・・おれたち、守られて来たんだな。たくさんの人に」
「そうだな」
願われ、導かれてここまで来た。多くの意志に見守られ。それでも、自分の足で。
これから何が起こるかわからない。未来はいつも不定形だ。あらゆる可能性の上に成り立っている。だからこそ、悔いなく生きたい。お前と共に。
「明日から大変だな。郊外の家にも行かないといけないし、朱家の奥義も解読しないと。ちょっとだけ巻き物の中を見たけど、結界の張り方とか特殊で面白かったぜ」
思いだす。セキヤと戦った時、奴の張った障壁を。あれは木の葉の忍術で作る結界とは、まったく性質の違うものだった。
「おい」
「なんだ?」
「やっていけそうか?」
思いきって訊いた。不安がないとは言えなかったから。鈴がやんわりと笑う。俺の頬を両手で囲んだ。
「らしくないぞ。『雷神』」
意地の悪い微笑み。言葉が継がれた。
「お前はやりたい放題やってたらいいの。それでも、おれは一緒にいるから」
「鈴」
「離れないって言っただろ。場所なんてどこでもいい。姿なんてどうでも。お前がいるなら」
首に手が回される。引き寄せて抱きしめた。離さない。離してなどやらない。やっと、共に在れるのだから。
唇を重ねる。丹念に内部を味わって。応える舌を確かめて。耳元へ、首筋へ。先程の軌跡を辿りながら、白い肌を染めてゆく。
「は・・・・あっ!」
波打つ身体。微かな刺激でも鮮やかに変わってゆく。俺だけを受け入れるものへと。
すらりとした足を広げ、その奥へと進む。唇が何かを求めて開いた。吸い込まれるようにそれを塞ぐ。
何度繋げても足りない。一度ごとに新しいお前を見つける。強くしなやかで、美しいお前を。
もっと見たい。
変化し続けるお前を。この手で変えてゆきたい。
『もし、大切なものがあるのならば、お前達はそれを離すな』
言われなくても分かっている。それが出来るほど俺は優しくないし、お人好しでもない。
どこまでも連れてゆく。どんな所へでも。お前の魂ごと、捕らえ続けてやる。
俺は何度でも奪う。何度でも食らい続ける。互いが全て互いになるまで。分ける事は出来ない、一つのものになれるまで。
決して、赦してやらない。
あいつの声。
誘いと哀願を伝える。
餓えているのだと。
足らないのだと。
欲しているのだと言っている。
与える。
お前になら、何もかもくれてやる。
他には何もいらない。
だから、俺にもくれ。
おまえ全部を。
一際深く貫く。音にならぬ声。あいつの背が震えて、ゆっくりと力が抜け落ちてゆく。
ぐったりとした身体を抱きしめ、俺は小さく笑んだ。
半年後、木の葉内外で一つの言葉がまことしやかに囁かれた。
それは、あらゆる技を駆使して守り続ける男と、狐面を従え何者にも止められず攻め続ける男を言い表していた。
曰く、『風神の守る砦は決して落ちず、雷神の攻める砦は必ず落ちる』と。
この言葉を最初に発した者を、数人を残して、人々は知らない。
THE・END
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