誰だ。
 お前は何者なんだ。
 ナルトの身体で、微笑みで。
 俺を殺すと言うのか。

 許さない。

 心の底からそう思った。








終わらない夢 〜暗部編〜 by真也







ACT6



 信じられない光景が目の前にある。
 寝台の上、俺の腰の辺りで金髪が揺れる。
 与えられる刺激は全く未知のものだった。自分でする時とは明らかに違う感覚。嫌でも身体が反応してゆく。
 その行為は知っていた。戦場などの特殊な場所では、相手が男になるということも。
 今まで自分の中の『うちは』を見極め、使いこなすことに必死だった。家族と連絡を絶ち、たった一人で暮らしてきた。「うちは」の業に誰かを巻き込むわけにはいかなかったから。
 任務に明け暮れる日々の中で、その行為を経験したことはなかった。できるだけの身体的、精神的余裕も無かった。



 高まってくるその波に、思わず肩を掴んだ。
「どうしたの?」
 顔を上げて訊いてきた。手は動き続けたまま。色づいた唇。濡れて、艶やかに光っている。
「・・・・・・何でもない」
 やっとの事で返事を返せば、碧い目がすっと細められた。いたずらをした子供のように笑う。
「無口なんだね」
 気恥ずかしさに睨めば、困ったように肩を竦めた。
「何か言ってくれないと・・・・・おれも、恥ずかしいから」
 言いながら、再び顔を伏せた。



 薄く開いた唇で。
 中から覗く薄紅の舌で。
 そいつが俺に、触れている。
 ナルトと同じ顔で。身体で。
 俺に触れつづけている。



「ねえ」
 遠慮がちに訊かれた。そこの疼きを堪えながら、問いかけの視線を返す。
「おれも・・・・楽しんで、いい?」
 何を言っているのかわからなかった。せがむような眼差し。奴の求めるものに気付き、首肯いた。
「・・・・ありがと」
 奴が身体を起こした。膝立ちになり、近づいてくる。目の前で膝を跨いだ。  
「う・・・・んっ」
 小さな声と共に、それが中へと入ってゆく。熱さと締めつけられるような圧迫感。掴まれた腕に僅かな痛み。爪が突き刺さっている。
「すごいね」
 吐息混じりに言った。濡れた瞳に俺がいる。ずきりと腰が疼いた。
「相性も・・・・・いいみたいだ」
 言葉と共に揺れる腰。初めは小さく、徐々に大きくなってゆく。
 染まる肌。漏れだす声。不規則になる呼吸。
 綺麗だな。素直に思う。
 目が離せない。
 ナルトもこうだったのだろうか。そう思った時、それに気付いた。
 奴の右手が項へとまわる。不自然な動作。きらりと、何かが光った。まさか。
 一瞬走る殺気。振り下ろされた右手を、掴んで捩じ上げた。
「何の真似だ」
 冷たく言い放つ。捻られた腕から、音もなく針が寝具に落ちた。
「そういうことか」
 合点する。これは罠。俺を油断させる為の。
 金色の髪の間から、空色の瞳が睨み付けている。



 ナルトじゃない。
 これが、こいつ。
 俺の待っていたものでは、ないのだ。



「残念。堕ちるかと思ったのに」
 ナルトと同じ口元が、綺麗に弧を描く。



 誰だ。
 お前は何者なんだ。
 ナルトの身体で、微笑みで。
 俺を殺すと言うのか。

 許さない。

 心の底からそう思った。



 捕らえた腕の経絡を突き、その自由を失わせる。振り回された左手を捕らえて、寝具の上に押え込んだ。鳩尾に突きを入れ、身体を丸めている間にうつ伏せにする。首の後ろを押え込んだ。
「覚えておけ」
 耳元で宣言する。
「俺は、試されるのは好きじゃない」
 言葉と同時に、報復の楔を打ち込んだ。





ACT7へ続く

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