翼持てるもの     by真也






ACT5 〜『翼翼』編〜



 一晩を木の上で過ごし、俺は昼に陣地へと帰ってきた。年配の上忍共がいなくなったことを諌める。力でねじ伏せてもよかったが、あいつに咎がいくのを考え、おとなしく聞いていた。
 作戦まで交代で仮眠が許されたが、眠れるわけがなかった。身体だけでも休める為、ひたすら目を閉じ安静にする。


 暗闇の中、聞こえる。
 ナルトの息の音。
 ほんの僅かな空気の揺れ。
 あいつのにおい。


 狂いそうだと思った。今、抱きたい。
 身体を繋いで。奥まで貪って。全部この手にしてしまいたかった。
 しかし今は任務前。危険率を高めてしまうわけにはいかない。必死で自分を抑えた。





「サスケ!」
 微かに聞こえた。ナルトの声。
 走りながら感じる。あいつが後に続いていることを。驚きながらも進んだ。
 早く。早く終わらせなければ。あいつに危険が降りかかる前に。出来るだけ早くカタをつけるのだ。
 邪魔するものを切り払い、上へ上へと進んだ。天守閣へ。
 ついに目的の場所へとたどり着いた時、殺気を感じる。五人か。
 金属音。接近戦で火遁を封じてきたか。俺は小刀を捨て、クナイを構えた。
「くらえ!」
 あいつが一人仕留めた。二人目を相手にしている。なかなかやる。
 相手が襲いかかってきた。クナイで受け止める。早いな。上忍クラスか。後ろにも一人いる。
 ナルトが走り込んできた。四人を倒して叫ぶ。
「サスケ!雑魚は終わりだ!」
 瞬間、感じる。最高だと。
「わかった。すぐ済ませる」
 自然と笑みが零れた。この程度わけない。すぐに片づけてみせる。写輪眼を開いた。
 精神集中。瞬時に印を切ってゆく。気を高めてチャクラを一つに。あれを、使う。

 『雷切』

 屋根を蹴った。相手もクナイで応酬してくる。数回刃を合わせた。甘い。捕まえた。
 右手の雷が敵を焼く。時間はそうかからなかった。
 人型の炭を放り出し、あいつを見やる。
「いくぞ」
 言葉が出た。ナルトが驚いている。
「上へあがる。天守閣に火を放てばもう、中の者も諦めて逃げ出すだろう」
 目的を話す。早く全てを終わらせたい。犠牲は最小限にしたいのだ。
「そうか」
 ナルトが頷く。俺は更に上へと屋根を登った。ほぼ頂上という場所で火遁を放つ。一撃で充分だ。
 為すべきことをやり遂げ、俺達は炎から離れた。





「すまなかったな」
 心から言う。そこに偽りはなかった。
「雑魚を任せてしまった」 
「いやっ、おれが勝手に付いてきただけで・・・」
 ナルトが大きく目を見開いている。意外だったのだろう。当然だ。俺はあいつを痛めつける事しか、して来なかった。
「でも助かった。おれ一人だと無傷ではいられなかっただろう」
 素直に告げた。それは事実だったから。
「これくらい、おれでも出来るから」
 あいつが言う。照れ臭そうな表情。そうだな。その通りだ。
 笑みが零れる。殆ど無意識だった。
 それほどに俺は、嬉しかったのだ。


 里へと向かう帰り道。あいつの視線を背中に感じていた。
 もしかしたら。心が叫んでいる。
 もしかしたら。心が信じたがっている。
 そうであればいいのにと願いながら、俺は歩き続けた。


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